憲法第4条で「大韓民国は統一を志向する」とされている通り、韓国にとって「統一」は国是となっている。しかし現実の韓国国民は、複雑な感情を抱いているようだ。南北統一を研究する国策シンクタンク・統一研究院が発表した統一意識に関する最新の世論調査結果を紹介する。(ソウル=徐台教)

1000人を対象に個別面接調査 通算で4年目

調査は今年3月21日から4月14日まで、全国16の市・道に住む満19歳以上の成人男女1000人を対象に行われた。調査方法は一対一の個別面接調査で、サンプリングは性別、年齢、地域別に人口比例して割り当てた。

そしてその結果のダイジェストが6月23日、統一研究院から「平和的分断と統一:2017 統一に対する国民認識調査結果と意味」という小冊子で発表された。まとめたのは2014年の調査開始時から本研究を担当している統一研究院の朴宙和(パク・チュファ)研究部長。この冊子の内容を中心に整理する。なお、詳細な結果は今年12月に発表するとのことだ。

本研究を取りまとめた統一研究院の朴宙和(パク・チュファ)研究部長。

 

統一認識の三つの特徴 その一:分断を維持する傾向の加速化、統一と分断のジレンマ

朴部長は、今回の調査結果で明らかになった傾向を三つにまとめた。その一つ目が、分断を維持する傾向の増加であった。

まず、「統一の必要性」に対し「必要」と答えたのは57.8%だった。なお、回答は四段階から選択するもので、「とても必要」は13.8%、「若干」は44.0%だった。2016年の62.1%、2014年の69.3%を下回った。回答者のうち、20代を除いては「統一は必要」という回答の比率が高かったという。

次に、「南北の間に戦争がなく、平和的に共存できるならば統一は必要ない」という質問について(回答は五段階から選択)、回答者の46.0%が同意した。反対したのは31.7%だった。2016年と比べ、同意した比率が2.9ポイント上昇し、反対は5.6ポイント下がった。回答者の22.2%が「普通」と答えた。

こうした回答について、朴部長は「矛盾的」と評する。「統一の必要性を感じる回答者」と「平和的な分断を支持する回答者」がいずれも多数派であるという点への指摘だ。同部長はさらなる分析のために、以下の表のように分類した。

統一研究院資料
統一と分断についての回答をまとめた表。朴住和研究部長が作ったものを筆者が翻訳した。

この表から読み取れることは、「分断体制を好む集団」が昨年から8.0ポイント増加する一方、「分断体制が可能な集団」も5.1ポイント増加した点だとする。

つまり、分断体制に肯定的な回答者の比率が13.1ポイント増加したことになる。反面、「単一体制=統一を好む集団」の比率は昨年から3.6ポイント減少した。

朴部長はまだデータを公開していないが、さらに「ほとんどすべての人口統計学的な変数の水準で、分断体制を維持する集団の比率が高かった」と明かす。

そしてこれをもって「韓国社会では現状を維持する傾向が普遍的な現象となっている」と分析した。また、こうした傾向は年齢が低いほど、学歴と所得水準が高いほど強まる結果だったとした。

統一認識の三つの特徴 その二: 個人生活と分離された統一、国家と個人のジレンマ

次なる特徴として朴部長は「個人の暮らしの次元で、統一の意味が弱まっている」点を挙げた。

「統一しようがしまいが、私の暮らしに大きな問題はない」という質問に対し、回答者の58.6%が同意した。「影響がある」と答えたのは11.6%で、29.8%が「普通」と答えた。

朴部長はこの結果を「多少、衝撃的」とした。肯定的にしろ否定的にしろ、統一は個人の暮らしに大きな変化をもたらすというのが一般的な予測であり、東西ドイツの統一の際にもそうした様子を目撃したはずだという論拠からだった。

次に朴部長が「さらに深刻な調査結果」として言及したのは、「統一が自身の暮らしに影響を与えないことを望んでいる」という点だ。

回答者の11.2%だけが、「統一のためには私の生活を少しは犠牲にしてもいい」という主張に同意した。また、「統一が現在の私たち当面の目標である」と答えた比率は22.2%に過ぎなかった。これは「韓国の国民にとって、統一は重要でない課題で、このために個人的な負担を甘受する意志が弱いということ」と朴部長は分析している。

調査結果が続く。「統一が自身にとって利益になる」と答えたのは24.2%だった。2014年の調査では34.0%、2015年では33.3%、2016年では29.4%だったため、年々下がっていることになる。

次いで「統一のために全てを甘受しなければならない=韓国社会が多くの犠牲を負ってでも統一を追求しなければならない」と答えたのは36%で。2016年から8.3ポイント減少した。

一方、「統一が国家的に利益になる」と答えた回答者は2014年以降で最も多い68.8%にのぼった。「統一が個人の利益になる」を選んだ比率の24.2%とは大きな差だ。

これについて朴部長は、「国家の費用は甘受するが、個人の費用は甘受しない」という結果だと読んだ。「国家の次元での統一への認識と、個人の次元でのそれが区別されて作動している」とした。




統一認識の三つの特徴 その三:民族アイデンティティを基盤とする統一論の限界

最後の特徴として挙げたのは「一つの民族だから統一しなければならない」という統一論が目に見えて弱まったという点だ。

統一の理由を聞く設問に対し、「南北間の戦争の脅威を無くすため」が41.6%で最も多かった。2014年に調査が始まって以降はじめて、この問いに対する回答者が一番多かったという。

次いで「同じ民族だから」が30.0%、「韓国がより先進国になるため」が14.0%と続き、「離散家族の苦痛を解決するため」は11.1%、「北朝鮮の住民が良い暮らしを送れるようにするため」は2.9%だった。

統一する理由について
統一する理由への回答。2014年の調査開始後はじめて「同じ民族だから」が1位から転落したという。調査結果から筆者が作成。

この中で「同じ民族だから」を選択した回答者の比率は、2年連続で下がり続けている。2014年は36.9%、2015年は38.7%、2016年には34.2%だった。

この結果について、朴部長は「南北間の危機に起因する短期的な現象の可能性がある」と分析した。「2016年1月の北朝鮮の核実験により触発された朝鮮半島の危機状況が続く中で、朝鮮半島の平和を願う国民の意見が短期的に反映されたもの」という見方だ。

さらに慎重に見方は続く。「本調査が民族のアイデンティティ、すなわち『一つの民族だから一つの国家にならなければならない』という認識の変化を反映しているのかについては確信できない」というのだ。

だが、面白かったのは「民族アイデンティティに基づく統一に同意するのか直接的に聞いてみた」という次の部分だ。ストレートに聞いたのだという。直接対話する個別面接調査だからこそ可能な質問だ。

「南北が一つの民族だからと、必ずしも一つの国家を成す必要はない」という主張に同意した回答者の比率は35.7%、同意しない比率は32.8%だった。また、「普通」と答えた比率は31.6%だった。

民族アイデンティティへの質問
「民族アイデンティティ」へをどう見るか。20~40代は否定的、50代上は肯定的が上回り、世代差が明確となった。元からあった表を筆者が翻訳した。

しかし、年齢別に見ると如実な差があったという。「民族アイデンティティ」に対し、20代の約半分となる47.2%が同意しなかった。同意したのはわずか20.5%にとどまった。

また、30代、40代の場合にも「単一民族=単一国家」という論理を否定する比率が肯定する比率より高かった。

こうした結果を受け、朴部長は「20代から40代までが『単一民族=単一国家』論理に明示的に反対を表明したことは、今後これ以上『民族アイデンティティに基づく統一論理』が通じないことを示唆する結果であり、政府と学会の注目が要求される」とまとめた。

(下)に続きます。




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