7月3日、統一部長官に趙明均(チョ・ミョンギュン)氏が就任した。文在寅大統領の指名から20日ぶりだ。同氏は特別な就任式を行わず業務を開始した。(ソウル=徐台教)

2008年に統一部退職後、9年ぶりに返り咲き

趙明均長官は60歳。先月就任した千海成(チョン・ヘソン)次官と同様に統一部のキャリア官僚出身だ。1984年から2008年まで24年間、統一部で勤務したベテランだ。

統一部の事務室一つ一つを訪ね、職員と歓談する趙長官(左)。写真は統一部提供。

数々の業績を残し、「2001年から交流協力局長を務め、3大経済協力事業とされる開城工団事業、鉄道・道路連結事業、金剛山観光事業を軌道に乗せた『南北経済協力の生き証人』」(聯合ニュース)と評される。

統一部だけでなく、06年2月から08年2月まで、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下で青瓦台(大統領府)での勤務経験も持つ。大統領秘書室・安保政策秘書官の要職を務め、07年10月の南北首脳会談の実現に大きく貢献し、同会談にも同席している。

だが、2008年2月、北朝鮮に対し強硬な態度を取る李明博政権が発足すると一転して「干され」、同年10月、統一部を退職していた。今回、9年ぶりに古巣に長官として返り咲いたことになる。

統一部長官候補に趙明均氏…「実務型」の構成も課題は「政治力」

趙長官候補(当時)の人事聴聞会は先月29日に行われ、即日、人事聴聞報告書が採択された。

韓国では、総理、副総理および各省長官(国務委員)や国家情報院、検察総長など国家の重要人事を決める際に国会で人事聴聞会が開かれ、候補者の道徳性、能力、政策理解度などを検証する。満足いく人物と見なされると、人事聴聞報告書を採択し、それを受け大統領が任命する。

文在寅大統領と趙明均長官
7月3日、青瓦台で文在寅大統領から任命状を受け取る趙長官。写真は青瓦台提供。

新政権発足直後の人事聴聞会は、与野党間、青瓦台と国会の間での綱引きに使われ、一筋縄ではいかないのが慣例だ。だが、趙氏は文大統領が任命した長官の中では最速で人事聴聞会を通過した。

スムーズだった理由は二つある。まずは、前述したように趙氏が長く統一部に勤めた官僚出身として、様々な南北関係の実務経験を積んできたからだ。また、他の候補者のような金銭面や私生活上での疑惑が無かった点も大きく影響した。

人事聴聞報告書が採択されたにも関わらず、任命が遅れたのは、文在寅大統領が訪米していたためだ。2日夜に文大統領が帰国したことを受け、趙氏は3日の午前から統一部に出勤した。

趙明均長官は外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官などと異なり、就任式を行わなかった。代わりに政府中央庁舎の統一部の事務室をいちいち訪ね、すべての職員とあいさつを交わした。

康京和外交部長官が就任 普遍的価値に基づく多者外交で実力発揮なるか

3日午後、青瓦台で行われた任命式で、文大統領は趙長官に対し「今回の政府は統一部長官が忙しくなり、頻繁に顔を合わせる政府になるといい」、「過去、南北対話の経験が多いため、とても上手に仕事をすると信じている」(聯合ニュース)と語った。




就任辞「統一部はベンチャー企業のようなもの」

趙長官は統一部職員宛てにメールで送信した就任辞の中で、「就任辞では統一業務に対する私の考えを皆さんと分け合うことが正しいだろうが、具体的な内容よりも基本的な部分を語りたい」とし、「朝鮮半島の平和と統一の問題を一年間昼夜の区分なく考えるのが韓国という国であり、政府内では統一部である」と職員としての誇りを強調した。

そして「南北関係において、統一部が朝鮮半島の問題、北朝鮮に対する理解を土台に、民間と政府の各部署が行う仕事がよりうまくいくように支援し、共に進んでいけるように調節する役割」と、統一部の立ち位置を定義した。

一方、「統一部はベンチャー企業のようなもの」と例え、「南北関係の法律、協力基金、一部の南北対話などは、皆さんの先輩の実務者が思いついたアイディアから作られ、推進されてきた」と語りかけた。

その上で、「創意性と開放性、瞬発力を必要とする統一部の雰囲気もまた、格式ばったものであってはいけない」と組織づくりへの意欲を明かした。

趙明均統一部長官
3日、就任を前に公務員宣誓式に臨む趙明均統一部長官。写真は統一部提供。

自身の反省もあった。「2008年に退職した後、過去、統一部で勤務する際、体と心の均衡を保つことができず、無理をして仕事を進める業務スタイルのせいで、同僚と後輩たちが苦労したことを知った」と述懐し、職員たちに「私のようになってはならない」と呼びかけた。

このような視点は、康京和外交部長官の就任辞にも見受けられた。公務員に対し「人間的な業務環境」を保障することが、文在寅政権における一種の共通認識になっていることが分かる。

また、「南北間は(退職時の)9年前と完全に変わったと言っても過言ではない。北朝鮮の指導部、核とミサイルの脅威、国際社会の朝鮮半島への介入、国民の北朝鮮と統一問題に関する認識は大きく変わった」との現状認識を示した。

最後に「今の南北関係は真っ暗な洞窟の中で、どれほどの深さなのか、東西南北も分からず閉じ込められたようなもの」と見立て、「こうした状況を抜け出すために必要なのは、一貫性と忍耐、希望である」とビジョンを明かした。




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