訪米中の文在寅大統領とトランプ米大統領が共同記者会見を行い、米韓首脳会談の結果を整理した。トランプ大統領は北朝鮮への「戦略的忍耐は終わった」と明かす一方で、米韓貿易の不均衡を指摘した。韓国は北朝鮮に向けた米韓の結束をアピールした。(ソウル=徐台教)

トランプ大統領と文在寅大統領
初対面で握手を交わす両首脳。同じ色のネクタイが話題となった。写真は青瓦台提供。

首脳会談は現地時間30日午前にホワイトハウスで行われた。その後、邸内のローズ・ガーデンで開かれた共同メディア発表で両首脳はそれぞれ結果を報告した。

米国:北朝鮮への「戦略的忍耐は終わった」

まず、トランプ大統領は朝鮮戦争記念碑に献花を捧げた文大統領とペンス副大統領を「非常に美しい光景だった」と言及し、「自由な韓国のために戦死した米国人と韓国人たちを忘れない」、「永遠に彼らの犠牲に感謝する」と称えた。

さらに、米韓のパートナーシップが「戦火の中で結ばれて60年が経った」と語り、「同盟は平和と安全保障の礎だ」とした。そしてこの結合は「今や文化、商業そして共同の価値によって絡まり合っている」と同盟が強固であることを確認した。

ついで、北朝鮮への言及が始まった。北朝鮮の金正恩政権を「無謀で無慈悲」と定義し、「核と弾道ミサイルプログラムに、とても確実な対応が必要」だとした。また「北朝鮮の独裁政権は自国民と隣国の安定と安全保障を尊重せず、人間の生命に対する尊重がない」と非難した。

昨年1月に北朝鮮の平壌で「逮捕」され15年の労働教化刑を受けたあと、6月13日に米国に戻ったものの、その6日後の19日に死亡した米国人大学生オットー・ワームビア氏に対し文大統領が明かした弔意に「感謝する」と語った。

その上で「北朝鮮と戦略的忍耐の時代が数年間存在したが、失敗した。この忍耐は終わった」と明かした。

また、「米国は北朝鮮という脅威から同盟国と市民を保護するためにあらゆる措置を採っている」とし、各国に対し「制裁を行い、北朝鮮政府がより早く、より良い未来を選択するよう」要求していくことを求めた。

だが、トランプ米大統領は費用面への言及も忘れなかった。

「米国の目標は地域内の平和と安定」だとし、「同盟国を守るために協力している」としながらも「在韓米軍の駐屯費用が公正に負担されるようにする」と述べた。

トランプ大統領文在寅大統領晩餐会
現地時間29日、ホワイトハウスで行われた晩餐会の様子。この日は両国の「和合」を意味するピビンパブがメニューに上った。写真は青瓦台提供。

なお、韓国の聯合ニュースによると、2015年、韓国は在韓米軍の駐屯費用の70%にあたる9320億ウォン(約930億円)を負担した。地価評価などによって算出方法に変動があるが、駐屯費用の60~70%超にあたると韓国メディアは分析している。

貿易の不均衡是正への注文も

トランプ米大統領は次いで、米韓FTA協定に対し否定的な見解を述べた。「協定締結以降、米国の貿易赤字は110億ドル(約1兆2000億円)以上増加しており、良い取引といえない」というものだ。一方で、「韓国からの投資が増えている」とも言及した。

その上で要求も明確に行った。「とても深刻な自動車や鉄鋼の貿易問題に文大統領と話を交わし、文大統領は公正な競争の場を作ると語ってくれた」と譲歩を引き出したことを明かし、「韓国の企業が米国で自動車を売っているように、米国も相互互恵的な原則に基づき、そうできるべきた」と強調した。

また「中国の鉄鋼のダンピング輸出を許さないよう」韓国に協力を求めた。「米国の労働者たちに公正ではない」とその理由を述べ、「韓国だけでなく、米国にとっても良い取引ができるように」と、自国民を保護する姿勢も積極的に明かした。

トランプ大統領は最後に「今後数年間、(文大統領と)協力し、同盟を強化し、市民と国民を共通の脅威から保護し、両国の偉大な国民たちの友好を増進させるために共に努力できることを願う」と結んだ。




韓国:北朝鮮問題への共同歩調を確認

続いて、文在寅大統領が会見を行った。まず、トランプ米大統領に対し「大統領に当選した際、海外首脳のうち、もっとも早くお祝いのメッセージを伝えてくれた」、「試練と逆境を乗り越え、自由と民主主義、平和と繁栄を共にしてきた偉大な同盟に対する慰労と激励だった」と最大限の謝辞を述べた。

そして「トランプ大統領は果敢で実用的な決断を下す人物だ」と持ち上げ、「米韓同盟の発展と、北朝鮮核問題の解決、朝鮮半島の恒久的な平和定着などに対するトランプ大統領の確固とした意志を確認した」とした。

さらに「トランプ大統領と私のあいだに深い信頼と友誼が形成された」とし、「待ち構えている多くの課題を解決していく強い基盤になると確信した」と会談の成果を報告した。

北朝鮮に対しても一致した見解を述べた。「強力な安全保障だけが真の平和を可能にする」とし、「拡張抑制を含む米韓連合防衛体制を通じ、圧倒的な抑制力を強化していくことにした」とした。

付け加えると「抑制」とは文大統領が掲げる「制裁と対話」の前段階に位置する概念だ。北朝鮮の核兵器、弾道ミサイルを「使わせないようにする」ことを意味する。

長津湖記念碑と文在寅大統領
米国到着後、文大統領はまず「長津湖戦闘」記念碑を訪ね献花した。同戦闘は1950年11月から12月にかけて行われ、朝鮮戦争最大の激戦のうち一つで知られる。米軍は大きな犠牲を出しながらも興南(フンナム・現北朝鮮咸鏡南道)への撤退に成功。戦火を逃れた約10万人の避難民と共に海路で韓国南部の巨済島へと逃れた。その一団に文大統領の両親もいた。文大統領は同地の「長津湖の勇士がいなかったら今日の私はなかった」演説した。写真は青瓦台提供。

「制裁と対話」で合意

北朝鮮への言及は続いた。「北朝鮮の核とミサイルの脅威」が「米韓両国が直面する最も深刻な挑戦」と位置づけ、「両首脳は制裁と対話を活用した段階的で包括的な接近を基に、北朝鮮の核問題を根源的に解決していくことにした」と述べた。

その上で「北朝鮮は核問題を必ず解決するという米韓両国の確固とした意志を過小評価しない方がいい」、「一刻も早く非核化のための対話のテーブルに復帰するように求める」と、金正恩氏に対し呼びかけた。

文大統領はまた、「米韓連合防衛能力を強化すると同時に、国防改革を通じ、わが軍独自の防衛能力を増進させていく。この過程で米韓両国間の防衛産業における技術分野の協力もより活性化することを望む」と、今後を見通した。

トランプ大統領が力を入れる両国の経済関係改善への言及も忘れなかった。「両国間の経済協力が未来志向的な発展において、重要な一つの軸であるとの認識を共にした」としながら、「経済成長と雇用創出を通じ、両国の国民みなが互恵的な成果をより多く得られるよう、共に努力していく」と明かした。

米韓同盟の未来については「テロリズム問題など、汎世界的な挑戦に共に対応しながら、米韓同盟をグローバルパートナーシップに拡大・発展させていくことにした」と、より強固にしていく姿勢を重ねて強調した。

米国が重要視する北朝鮮の人権問題についても立場を明確にした。

オットー・ワームビア氏に対する弔意を表しながら「国家の存在理由は国民を守ること」とし、「人権弁護士であった私は、人類普遍の価値として人権の持つ意味をとてもよく理解している。米韓両国はこのようなことが再び起こらないよう、北朝鮮の人権増進のため、国際社会と協力していく」と語った。

最後に、「トランプ大統領が年内に韓国に訪問するよう招待し、トランプ大統領はこれを快諾した」とし、ソウルでの首脳会談を発表した。




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