23日、故盧武鉉大統領の8周忌を迎え故郷で追悼式が行われた。現職大統領として参加した文在寅大統領は式辞の中で、国政改革への強い意気込みを明かした。(ソウル=徐台教)

「現職の大統領として参加するのは今日が最後」墓前で改革誓う

この日、慶尚南道金海市進永邑烽下マウル(ポンハ村)で行われた追悼式には、丁世均(チョン・セギュン)国会議長や安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事など、盧元大統領と親しかった政界関係者が多数訪れ、庶民派大統領として親しまれた故人を偲んだ。

故盧武鉉大統領8周忌バナー
「盧武鉉大統領逝去8周忌 人が人として暮らす世の中が帰ってくる!」と書かれたバナー。故盧武鉉大統領の写真があしらわれている。共に民主党のホームページに掲載された。

注目されたのはやはり文在寅(ムン・ジェイン)大統領だった。文氏は故盧武鉉大統領と釜山(プサン)市内で人権弁護士として活動し、盧氏が大統領となった後には最側近として青瓦台(大統領府)で補佐するなど、30年間共に歩んできた。

2009年に同地で盧元大統領が衝撃的な投身自殺を遂げた際には、憔悴し切った姿で葬儀委員長も務めている。

参席者を代表し式辞を述べた文大統領はまず「8年の歳月にも関わらず、盧武鉉大統領と一緒にいて、この場に大統領として立たせてくれた」と、支持者や参席者に対し感謝の言葉を述べた。

続いて「盧武鉉の死は数多くの目覚めた市民として蘇り、世の中を変えた」と昨年から続く「ろうそく革命」に言及し、「常識と原則が通じる世の中を求めた」盧武鉉大統領の精神が今も生きていることを伝えた。

さらに「国民の過分な賞賛は、正常な国を作る努力が特別なものとして受け止められているもの」と80%を超える支持を得る自身の姿を振り返り、「私たちの社会が長いあいだ深刻に正常でなかった」と過去の李明博、朴槿恵政権を総括した。

しかしここからが、文大統領ならではの内容だった。

盧武鉉大統領を失った悲しみに言及しつつ「二度と失敗しないように、李明博、朴槿恵政権だけでなく、金大中、盧武鉉政権まで去る20年間のすべてを省察し成功の道へと向かっていく」と言及し、スローガンである「参与政府(盧武鉉政権)を超える完全に新しい国」を実現する強い意気込みを示した。

盧武鉉文在寅イラスト
故盧武鉉大統領の8周忌を迎え、ソウル市内の光化門広場に登場したイラスト。左に盧元大統領、右は文在寅大統領だ。盧武鉉財団フェイスブックより引用。

文大統領のこのような想いはさらに、「現職の大統領としてこの場に参席するのは今日が最後になる」という言葉として表現された。

韓国社会の課題であり文大統領みずからの公約でもある「国民の大統合」に向け、「盧武鉉派の後継者」としてではなく、「国民の大統領」として成功するという不退転の決意の表れと見ることができるだろう。

以下に式辞全文を翻訳する。
テキストは青瓦台が配信したものに拠る。
翻訳は筆者。




文在寅大統領 故盧武鉉大統領8周忌追悼式 式辞

8年の歳月が経ったのにも関わらず
このように変わらず盧武鉉大統領と一緒にいてくださり
どんな感謝の言葉を述べてよいのか分かりません。
私が大統領選挙の際にした約束、
今日この追悼式に大統領として参席するという約束を
守れるようにしていただいたことに対しても深く感謝いたします。
盧武鉉大統領もこんな日には
この私たちのどこかに隠れて
すべての方に感謝しながら
「ああ、いい気分だ!」と言っているかもしれません。

やるせない追悼の気持ちもひどく弱まるほどの歳月が過ぎても、
より多くの人々が盧武鉉の名前を呼びます。
盧武鉉という名前は反則と特権のない世の中、
常識と原則が通じる世の中の象徴となりました。
私たちが共に悼んだ盧武鉉の死は
数多くの目覚めた市民として蘇りました。
そしてついに世の中を変える力になりました。

私は最近、国民の過分な賞賛と愛情を受けています。
私が何か特別なことをしたからではありません。
ただ、正常な国を作ると言う努力、
正常な大統領になるという意志が
特別なことのように受け止められています。
正常のための努力が特別なことになる程に
私たちの社会が長いあいだ、深刻なまでに正常ではなかったということです。

盧武鉉大統領の夢も同じでした。
民主主義と人権と福祉が正常に機能する国、
地域主義と理念の葛藤、
差別という非正常が無い国が彼の夢でした。
そんな国を作るために、
大統領がまず超法規的な権力と権威を手放し、
庶民の言葉で国民と心を通わせようと努力しました。

しかし理想は高く、力は足りませんでした。
現実の壁を越えられませんでした。
盧武鉉の挫折のあと私たちの社会、
特に私たちの政治は
さらに非正常へと逆走し、
国民の希望とは離れていく一方でした。




しかしついに、その夢がまた始まりました。
盧武鉉の夢は
目覚めた市民の力で復活しました。
私たちが共に見た夢が私たちをここまで連れてきてくれました。
私たちはもう、二度と失敗しないでしょう。
私たちは李明博、朴槿恵政権だけでなく、
金大中、盧武鉉政権まで、
去る20年間のすべてを省察し、
成功の道へと向かっていきます。

私たちの夢を、
参与政府(盧武鉉政権)を飛び越え
完全に新しい大韓民国、国らしい国を拡げていかなければなりません。
盧武鉉大統領を守れなかった申し訳ない気持ちを
これからは胸に納め、
みなで共に国らしい国を作ってみましょう。
私たちが安全保障も、経済も、国政の全般で
はるかに有能であることを再び示しましょう。

私の夢は国民すべての政府、
すべての国民の大統領です。
何よりも重要なことは国民の手を離さずに
国民と共に歩むことです。
改革も、わたくし文在寅の信念だからと、
または正しい道であるからするのではなく、
国民と目線を合わせながら、
国民が願い
国民にとって利益であるから行うものだという
決意と共に進んで行きます。
国民が急ぐ場合にはさらに速度を上げ、
国民が遅らせる場合は、心を通い合わせながら説得します。
文在寅政府がやり遂げられなかったことは
次の民主政府が受け継いでいけるように
しっかりと改革していきます。

盧武鉉大統領
あなたが恋しいです。
会いたいです。
しかし私はこれから任期中に
大統領を胸の中にだけしまっておきます。
現職の大統領として
この場に参席するのは
今日が最後になります。
これからはあなたを全て国民にお返しします。
必ず成功する大統領になって任務を果たした後に
またうかがいます。
その時にもう一度、
あなたが話したあの言葉、
「ああ、いい気分だ!」
そんな晴れやかな笑顔で迎えてください。

いま一度参席していただいた皆様に感謝し、
気丈に耐えてこられた権良淑女史(クォン・ヤンスク、故盧武鉉大統領夫人)と遺族にも
慰労の言葉を捧げます。

ありがとうございます。

2017年5月23日
大統領 文在寅




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